PNFで五十肩の関節の構造が変わるんじゃない?という研究

PNFが五十肩治療に効果的?MRIで確認された肩関節構造への改善効果とはのサムネイル 論文

五十肩の治療でPNFはどれほど効果があるの?

五十肩(肩関節周囲炎)は、肩関節が痛みとともに固まってしまい、動かしづらくなる症状。原因も明確じゃなく、長引く痛みに苦しんでいる人も多いですよね。肩を上げたり後ろに手を回すのがつらくて、日常生活が辛いと感じる方も多いでしょう。

そこで注目されている治療法のひとつがPNF(固有受容性神経筋促通法)です。PNFは、固有受容器を刺激することによって神経筋機構の反応を促通する治療のことですが、「症状を和らげるだけじゃなく、関節の構造そのものにも変化があるの?」ということをMRIを使って調べたのが、今回の研究(R)です。

研究の内容

研究対象

五十肩と診断された48名の患者さんが対象で、無作為に「従来の徒手療法グループ」と「PNF治療グループ」に分けられました。

治療法

両グループとも毎日1回、超音波と体外衝撃波治療を行いました。その上で、

  • 従来の徒手療法グループはマイトランド手技(牽引、滑り運動など)を実施。
  • PNFグループは、肩甲帯の運動や上肢の対角線上の動きなど、患者さん自身が抵抗をかけたり弛緩したりを繰り返すようなトレーニングを行いました。具体的には、肩関節の動きを評価しながらリズミック・スタビリゼーション(リズミックスタビライゼーション)やホールド&リラックスなどのPNF技法を組み合わせて毎日30分程度実施しました。

両グループとも、毎日1回の超音波療法と体外衝撃波も併用しています。

評価方法

MRIを使って治療前後の肩関節構造の変化(烏口上腕靭帯:CHL、腋窩関節包:CARの厚さ)を評価し、痛み(VAS)と肩関節の可動域(ROM)も比較しています。

結果:PNFは構造的にも効果的!

MRIの評価では、PNF治療グループがCHLとCARの厚さを明確に減少させていました。つまり、PNFは痛みの緩和や動きを良くするだけじゃなく、五十肩で厚くなった靭帯や関節包自体を改善することが示されました。

痛みの評価でも、PNFグループは中間評価(2週間後)と退院時(4週間後)ともに従来の徒手療法グループより痛みが少ない結果になっています。可動域についても中間評価では特に大きな差があり、最終評価でも改善傾向が見られました。

この研究のポイント

  • 五十肩で厚くなった靭帯や関節包がPNFで改善することがMRIで初めて確認された。
  • PNFは従来の徒手療法よりも肩の痛みや動きを改善する効果において優れている。
  • 症状だけでなく、関節の構造を直接ターゲットにできる治療法であることを示した。

まとめ

今回の研究から、PNFは五十肩の痛みや動きを良くするだけではなく、肩関節の構造自体にも効果をもたらす可能性があると示されました。ただ、この研究はあくまで小規模な予備試験なので、もっと大規模な研究が必要ですね。

ちなみに論文で使っているPNFの手技はダイナミックリバーサルスタビライジング・リバーサルリズミック・スタビリゼ−ションホールド・リラックスコントラクトリラックスなど色々なテクニックを使ったそうな。PNF用語が頭に入っていない僕にはややこしくてしゃあないです。

とりあえず明日から肩関節周囲炎の治療をする際には、屈曲外転外旋・伸展内転内旋パターンや、パターンの最終域での等尺性収縮を試していこうかなと思った次第です。それではさようなら。

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