23か月ぶりに貿易収支が黒字になりました。
貿易収支とは、ある国が一定期間に輸出した商品とサービスの総価値と、同じ期間に輸入した商品とサービスの総価値との差を表す経済指標です。
具体的には次のように理解できます。
- 貿易黒字: これは輸出の総価値が輸入の総価値を上回る状態を指します。つまり、他の国々からより多くのお金を得ているということです。
- 貿易赤字: これは輸入の総価値が輸出の総価値を上回る状態を指します。つまり、他の国々により多くのお金を支払っているということです。
貿易収支は、一国の経済活動と国際経済との関係を理解するための重要な指標の一つで、その国の競争力、経済の構造、経済政策などを反映しています。

日本の貿易収支が黒字になった主な理由は以下の通りです:
- 資源価格の高騰が一服:資源価格の高騰が一服し、原油などの輸入額が減少しました。これにより、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支が黒字になりました。
- 半導体不足の緩和:半導体不足が緩和され、自動車の生産が増加し、それに伴い輸出も増加しました。
23か月ぶりに貿易収支が黒字というと、「日本ヤバいのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、世界最強の経済大国であるアメリカはずっっっと貿易収支が赤字だったりします(通貨発行国の特権ですね)。
貿易収支が黒字であることが必ずしも経済が健全であることを意味するわけではなく、また貿易収支が赤字であることが必ずしも経済が不健全であることを意味するわけでもありません。
貿易収支は、経済の全体像を理解するための一部の情報を提供するものであり、他の経済指標とともに考慮することが重要です。
とはいえ日本は輸出に依存して成長してきた国です。
これからも製造業主体の国であり続けるのであれば、貿易赤字は避けたいところでしょう。
となると、貿易赤字の原因になっていた
- 資源価格の高騰
- 半導体不足
の対策をする必要があります。
資源価格の高騰
原油、石炭、石油の多くは、火力発電に使われています。

そして、日本は火力発電の割合が多く、

エネルギー自給率は11.3%という低さです。
この状態のままだと、資源価格が再度高騰すれば、再び貿易赤字になってしまいます。
これを改善するために、
- 再生可能エネルギーの利用を増やす: 太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどの再生可能エネルギー源の利用を増やすことで、エネルギー自給率を上げることができます。これらのエネルギー源は無尽蔵ではありませんが、日本国内で利用可能であり、自給率の向上に寄与します。ただし、これらのエネルギー源の導入と利用には初期投資が必要であり、地域によっては利用可能なエネルギーの種類や量が限られている場合があります。
- 原子力エネルギーの再評価: 福島第一原子力発電所の事故以降、日本の原子力エネルギーに対する見方は大きく変わりました。しかし、原子力は日本のエネルギー自給率を大幅に向上させる潜在能力を持っています。もちろん、これは安全性、廃棄物管理、コストなどの問題を適切に解決することが前提となります。
などの政策が必要かと思われます。
半導体不足

半導体は様々なものに使われており、日本の主要産業である自動車にも必要です。

しかし日本の半導体自給率は高くありません。
つまり、輸送が滞ったり世界中で半導体の需要が高まったりして、半導体の価格が上昇すれば、また貿易赤字になるということです。
国もさすがにバカではないので、手は打っているようですね。上手くいくといいなと思います。
まとめ
- 日本の貿易収支が23か月ぶりに黒字に転じた。これは輸出の総価値が輸入の総価値を上回ったことを示す。主な要因は資源価格の高騰の一服と半導体不足の緩和である。
- 貿易収支が黒字あるいは赤字であることは、それ自体が経済の健全性や不健全性を必ずしも示さない。それは経済の全体像を理解するための一部の情報であり、他の経済指標とともに考慮することが重要である。
- 日本は輸出に依存して成長してきた国であり、資源価格の高騰と半導体不足の問題を解決するための策が求められている。
というお話でした。
アメリカがずっと貿易赤字でも大丈夫な理由もそのうち考察したいなと思います。
それではさようなら。
コメント