政府のNTT株売却は悪手だと思う話

自論

こんにちは。カラガラです。

今日、こんなニュースが報道されました。

NTT株売却検討に着手 自民、防衛財源確保巡り(共同通信) - Yahoo!ニュース
自民党の萩生田光一政調会長は25日の党会合で、防衛費増額に必要な財源確保に向け、政府が保有するNTT株売却の是非について本格的に検討を始めると表明した。「NTT完全民営化の選択肢も含め、議論を進め

 自民党の萩生田光一政調会長は25日の党会合で、防衛費増額に必要な財源確保に向け、政府が保有するNTT株売却の是非について本格的に検討を始めると表明した。「NTT完全民営化の選択肢も含め、議論を進めたい」と述べた。萩生田氏がトップを務める増税以外の財源確保策を検討する特命委員会の下に協議体を設置する。
 NTT株は、政府が株式の3分の1以上を保有するよう法律で義務付けられている。萩生田氏は「通信手段が高度化し、国際競争も激しくなる中、これらの義務を維持し続けるのかどうか検討してみる必要がある」と強調した。8月中にも議論を開始する。

出典:NTT株売却検討に着手 自民、防衛財源確保巡り(共同通信) – Yahoo!ニュース (https://news.yahoo.co.jp/articles/e41dfd0e9a3707a48497f0d86f1752087acf9b13)

私はこの、政府のNTT株売却は悪手だと思います。

売却という選択肢は、一時的な収入を得るためだけのもの

まず、政府が保有するNTT株の売却を考慮する理由は、防衛費の増額に必要な財源を確保するためとのことです。ここには、国家の財政状況、国防の必要性、そしてNTTの民営化という複数のテーマが含まれています。

NTTを完全に民営化するという選択肢は、NTTが市場競争の中でより効率的になる可能性があります。そして、政府が持つNTT株の売却により、一時的に大きな収入を得ることができます。ただし、このような動きは慎重に考えるべきリスクも伴います。その一つは、通信インフラが重要な公共財としての役割を果たしていることです。これは国家安全保障にも関連しており、重要なコミュニケーション手段がプライベートセクターの完全な管理下に置かれるリスクがあります。

また、政府が一時的に収入を得るために資産を売却するという手法は、長期的な財政状況に対する解決策とは言えません。一時的な収入はあくまで一時的であり、持続的な防衛費の増額を支えるためには、より持続的な財源を見つける必要があります。

このような観点から見ると、NTT株の売却という選択肢は、一時的な収入を得るためのものであり、通信インフラの管理についての重要な議論を引き起こす可能性があることを理解することが重要です。経済的な観点からは、より持続的な財源の確保と、公共財としての通信インフラの適切な管理が重要となります。

改めて、NTT株売却のメリットとデメリットをまとめてみます。

メリット

  1. 一時的な収益: 政府が保有するNTT株の売却により、一時的な大きな収益を得ることができます。これは防衛費などの公共支出の財源として使用することができます。
  2. 競争の促進: NTTを完全に民営化することで、市場競争がより活発になり、結果的に消費者にとってのサービスの質や価格の改善が期待できます。
  3. 政府の介入の減少: 完全な民営化は、通信市場における政府の直接的な介入を減らす可能性があります。これにより、ビジネスの自由度が高まる可能性があります。

デメリット

  1. 公共インフラの管理: 通信は重要な公共インフラであり、その管理は社会全体の利益を考慮する必要があります。民営化により、価格設定やサービス提供の決定が利益追求のためだけになるリスクがあります。
  2. 一時的な収益: 前述の通り、株の売却による収益は一時的なものです。持続的な公共支出の財源としては不適切である可能性があります。
  3. 国家安全保障: 通信インフラは国家の安全保障に直接関連しています。民営化は、そのコントロールと安全保障に影響を与える可能性があります。

利点より欠点の方が大きい

もちろん、問題は非常に複雑で、多面的な観点から考える必要があります。

まず、財源の確保という観点からは、NTT株の売却により一時的な収益を得ることは可能です。しかし、そのような一時的な収益は、長期的な財政計画にとって持続可能な解決策とは言えません。株売却による資金は一時的なものであり、その後の公共支出(この場合、防衛費)に対する持続的な財源確保につながるわけではありません。

次に、市場競争と公共インフラ管理の観点から見ると、通信業界の完全な民営化は一部の市場条件下では競争を促進し、消費者にとってのサービス改善をもたらす可能性があります。しかし、通信は重要な公共インフラであり、そのプライベートセクターへの完全な移管は、公共の利益を保護するための適切な規制や監督が必要になるでしょう。

さらに、通信は国家の安全保障に密接に関連しています。通信インフラのコントロールが国から離れると、そのセキュリティやアクセスの公正さをどのように確保するかが重要な課題となります。

これらの要素を考慮に入れると、NTTの完全な民営化や政府の株売却による一時的な収益が必ずしも最善の解決策であるとは思いません。

持続的な財源の確保、公共インフラの適切な管理、そして国家の安全保障の維持が重要であり、これらの課題を解決するための政策を検討するべきだと考えます。

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