加圧トレーニングが末梢動脈疾患患者の運動能力をアップさせるという研究

加圧トレーニング中の男性がジムでトレッドミルを使用しているイラスト。 日記

はじめに

今回は、「加圧トレーニングが、末梢動脈疾患(PAD)で起こる『間欠性跛行(歩くと足が痛くなる症状)』を抱えた患者さんの運動能力や生活の質(QOL)を改善できるか?」というテーマを扱った興味深い論文(R)をご紹介します。

PADによる間欠性跛行って、歩くと足が痛くなって動けなくなっちゃう症状のことで、生活の質が大きく下がります。理学療法の定番として有酸素運動や通常のレジスタンス運動が推奨されるんだけど、運動がツライのでなかなか続かないのが現実です。

そこで登場するのが「加圧トレーニング」。これは、腕や脚の根元に空気圧カフを巻いて静脈を一時的に制限しながら軽い運動を行う方法です。低負荷(20~40%の最大筋力)でも高負荷並みの効果が期待できるとされてます。

研究の概要

対象

この研究では、間欠性跛行を持つPAD患者30名を対象に、8週間にわたるランダム化比較試験(RCT)が行われました。被験者は加圧トレーニング群と、加圧なしで同じ内容の低負荷運動を行う対照群に分けられました。

具体的な運動内容

参加者は週に2回、以下の運動を行いました。

  • 軽い自転車運動でウォーミングアップ(5分)
  • レッグプレス:1セット目30回、残り3セットは各15回(負荷は最大筋力の20%)
  • 膝伸展運動:3セット各15回(負荷は同様に20%)

加圧トレーニング群では、運動中とセット間の休息中もずっと脚の根元に巻いた空気圧カフが使用されました(動脈閉塞圧の約50%の圧力)。

評価指標

主な評価項目は次の通り。

  • 運動能力:6分間歩行テスト(6MWT)での歩行距離や痛みが出るまでの時間
  • 生活の質:EQ-5D-5Lアンケート
  • 運動の継続性と安全性

結果

この試験では、運動の継続率が高く(加圧トレーニング群78%、対照群84%)、重篤な副作用はありませんでした。

特に注目すべき結果は以下の通り。

  • 加圧トレーニング群では86%の患者が臨床的に意味のある歩行能力の向上(6分間歩行距離が大幅に伸びる)を達成したのに対し、対照群は33%にとどまった。
  • 歩行中に痛みが出るまでの時間が、加圧トレーニング群では35%も延びたのに対し、対照群は変化なし。
  • 生活の質に関しても、加圧トレーニング群では移動能力や日常活動、痛み、気分、総合的な健康状態が改善しました。

考察とまとめ

この研究の結果から、加圧トレーニングを使った軽いレジスタンス運動は、PAD患者にとって安全かつ効果的で、通常の軽い運動に比べて、歩行能力や生活の質を大きく改善する可能性が示されました。

特に、通常の高負荷運動が苦手な患者さんにとっては、加圧トレーニングが新しい選択肢となるでしょう。ただし、筋肉の太さや最大筋力などは今回の方法では大きく変化しなかったので、負荷や期間を増やすなどの工夫も今後必要かもしれません。

現場での応用として、理学療法やリハビリテーションに加圧トレーニングを取り入れることで、間欠性跛行を抱える患者さんの運動継続を助け、生活の質向上にも役立つ可能性がありそうです。

まだ規模の大きい臨床試験が必要ですが、今回の研究は加圧トレーニングの可能性を示す非常に良いステップとなりました。まずは自分で実験してみようかな。

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