下肢リハビリの「最適解」はあるのか?コアトレ×〇〇の組み合わせを徹底検証してみた話

論文

当たり前ですが、脳卒中で足が動かなくなったら、その後の人生はかなり制限されます。歩けない、立てない、転びやすい。そうなるとQOL(生活の質)もガタ落ちです。

だからこそ、リハビリ現場では「どうやって下肢機能を効率よく改善するか?」が常に問題になるわけでして、最近では「体幹を鍛える(コアスタビリティトレーニング)と足のリハビリを組み合わせるのが最強では?」という考え方が注目されています。

で、今回チェックしておきたいのが、「コアトレ+〇〇」の組み合わせで、いったいどれが一番効果的なのか?という問題。なんと43本のRCT(ランダム化比較試験)をまとめたネットワークメタ分析(R)が出てまして、わりと貴重なエビデンスになってます。

どんな研究?

ざっくりいうと、対象は脳卒中後の下肢機能が落ちた患者さん2,227人。全員がなんらかの形で**コアスタビリティトレーニング(CST)**を受けていて、それに加えて以下のような11種類のアプローチが加えられてました:

  • 電気刺激(NMES)
  • 鍼治療(AT)
  • 認知運動(MIT)
  • プロプリオセプション訓練(PT)
  • ロボットリハ(RRT)
  • ボバース法(BT)
  • 閉鎖性運動連鎖(CKCE)
  • 筋力トレ(WT)
  • タスク指向訓練(TOT)
  • 視覚フィードバック(VFT)
  • rTMS(経頭蓋磁気刺激)

で、アウトカム(=結果としてどうなったか)としては、定番の4つ:

  • BBS(バランス)
  • TUGT(立ち上がって歩く速さ)
  • FMA-LE(下肢の運動能力)
  • FAC(歩行の独立性)

それぞれの介入がどれくらい効果的だったかを、**SUCRA値(確率的なランク)**で比較してます。

結果:ベストな組み合わせは「NMES+CST」か「PT+CST」か?

で、結果なんですが、結論から言うと**「最適な組み合わせはアウトカム次第で変わる」**というのが真相。

具体的には:

効果対象ベスト組み合わせSUCRA(ざっくり%で効果の高さ)
バランス(BBS)NMES + CST90.82%
歩行スピード(TUGT)PT + CST93.24%
下肢運動能力(FMA-LE)AT + CST90.83%
自立歩行(FAC)MIT + CST93.87%

ここでちょっと注意したいのは、「効果量は確かに高いけど、その差が臨床的に有意かどうかはまた別問題」という点。SUCRAの差が10~20ポイントあっても、信頼区間が重なってたら「実際は差がないかもね」というパターンもあります。

個人的に注目したのは鍼治療+コアトレ(AT + CST)の万能感。バランス、下肢運動、歩行自立すべてで上位に食い込んでるんですね。中枢神経の可塑性を高めるとか、脳の血流を改善するってあたりが、神経リハビリとしても理にかなってます。

……が、全部中国国内でのRCTというのがネック。文化的・医療制度的なバイアスを無視できないのと、他国のリハビリ現場では鍼が受け入れられてないケースも多く、「そのまま使えるか?」と言われるとちょっと微妙です。

他にもこの研究の限界はありまして……

  • 長期フォローアップのデータが少ない(多くは数週間単位)
  • バイアスリスクの高い研究が多い(6件が“高リスク”、37件が“やや懸念”)
  • SUCRA値にばかり注目すると、効果の“実際の大きさ”が見えづらい
  • どの組み合わせも「患者の背景次第で効く/効かない」がある

といったあたりが難癖つくかなという感じ。

つまり、「PT + CSTが最強!」って言い切れるほど単純な話ではなくて、「条件が揃えば有効かもしれない」くらいの温度感で見ておくのが妥当です。

まとめ

ということで、今回の要点をまとめておきますと:

  • コアトレ単独よりも「+何か」で効果は増す可能性が高い
  • バランス重視なら NMES + CST、動作改善なら PT + CST が有力候補
  • 鍼+コアトレも良さそうだが、エビデンスの地理的偏りに注意
  • “万能な正解”はない。患者ごとの最適解を探る必要あり
  • リハ介入の選択は「効果の強さ」だけでなく、「実施のしやすさ」「リスク」「コスト」などの現実的ファクターも考慮すべし

といったところでしょうか。

僕個人としては、PT + CSTあたりが一番バランス良くて現場導入しやすいんじゃないかなーと思います。もちろん、対象者が若年で筋力の余力があるとか、バランスが極端に悪いとかなら、NMESやMITのほうがフィットするかもです。

「じゃあどんな運動すればいいんだよ!」と思われる人もいるかもしれません。個人的には

プロプリオセプションタンデム歩行、片脚立位、フォームパッド上での足踏み

コアスタビリティヒップリフト、バードドッグ、プランク

あたりをやりますかねー。割とコアスタビリティに偏っていたので、これからはもう少しプロプリオセプショントレーニングもやりたいなと思いました。

要は、「組み合わせれば万能」みたいな話にはならないけど、「組み合わせないと損」な時代にはなってきたのかな、という印象でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました