バーチャルリアリティ(VR)とかオーグメンテッド・リアリティ(AR)、それにウェアラブルセンサーなどを取り入れたリハビリ方法がどのくらい効果的なのかをまとめてくれた論文(R)があったので紹介したいと思います。
このレビューではランダム化比較試験(RCT)4件(計405名)をピックアップして、痛み・機能向上・患者さんのモチベーションなんかへの効果を評価しているとのこと。研究の質を示すPEDroスコアは平均6/10という結果で、まぁ中~高水準のクオリティってことみたいです。
どんなことをやったのか
- VR(バーチャルリアリティ)
Nintendo Wii FitやXbox Kinectを活用して、膝を動かすエクササイズをゲーム感覚で実施。痛みの軽減や筋力向上に加えて、モチベが上がりやすい。個人的に思ってたVRと違いました。 - AR(オーグメンテッド・リアリティ)
ディスプレイやゴーグルを介してリアル空間にデジタル情報を重ね合わせる手法。エクササイズのやり方をその場でフィードバックできるので、正しい動作がしやすいという利点あり。こっちが僕の思うVRでした。 - ウェアラブルセンサー
ブレースやパッチ、あるいはウェアラブル機器を身につけて動作データを計測。自分の関節角度や重心のズレをリアルタイムでチェックして、適切にフォームを修正できる。僕はむしろ混乱する自信があります。
実際の効果はどうだったのか
- 痛みの軽減
VASやWOMACといった指標で測定したところ、VRやセンサーを使ったグループは痛みが有意に減少。 - 機能面の改善
歩行や屈伸など、日常動作のしやすさが向上したとの報告が多いっすね。特にVRを使うと下肢筋力やバランス能力の改善も期待できるらしいです。 - アドヒアランス(継続率)の向上
自宅でも続けやすいことや、ゲーム的要素で「楽しい」と感じやすいことから、リハビリを継続するモチベーションが上がるってわけですね。
とはいえ問題点も
- コストとアクセス
先端技術ゆえに機器代や通信環境がそれなりにかかる。地域や経済状況によっては導入がむずかしいケースも。 - プロトコルの標準化不足
研究ごとにやり方がバラバラで、どの頻度・どの強度でやるのがベストかがまだ確立されてないっすね。 - 長期的な効果の検証
短期の改善ははっきり示されてるけど、長期的にどこまで持続するか、コスト対効果はどうか、といった部分はもっと研究が必要そうです。
まとめ
「あれ?ARは?」と思った方は鋭いですね。
AR(オーグメンテッド・リアリティ)に関しては、このレビューではVRやセンサーほどしっかりと痛み軽減のデータが示されていなかった印象です。というのも、引用されている4本のRCTの中で、AR単独の効果を詳細に検証している研究が少なかったからです。VRやセンサー技術に比べて、ARの導入例がまだ限られているのが現状っぽいです。
ただし著者らのまとめとしては、ARも痛みの緩和や機能回復に良い影響を与える可能性はあると示唆されていました。現実空間にバーチャル情報を重ねて、患者さんがリアルタイムで動作の修正フィードバックを得やすい点は、運動療法の質を向上させるメリットが期待できます。今後はもう少しARにフォーカスした研究が必要そうですね。
今回のレビューからわかるのは、「VR・センサー技術を取り入れたリハビリは膝関節症の痛み軽減や機能向上にプラス効果をもたらし、患者さんのやる気も高める可能性がある」ってことですね。大規模なRCTや、費用対効果を検討した研究が待たれるところです。
僕としても、自分が老人になったときによくわからんレクをやらされるよりは、Fit Boxingのスコアを競った方が楽しそうだなと思うので、もっと研究が進んでほしいなと思いました。それではさようなら。
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