今回は、「脳卒中後のリハビリってどの方法が一番効果あるの?」という疑問を徹底検証した最新のコクランレビュー(R)を紹介します。
コクランとは、世界中の医療や健康に関する研究結果を集めて、信頼性の高い情報としてまとめてくれる国際的な非営利団体のこと。医療従事者が科学的根拠に基づいて治療法を選ぶ手助けをしています。
脳卒中のリハビリって、機能回復や歩行改善など、目的に応じて色々な方法が使われてますよね。でも実際のところ、どの方法が効果的かってはっきりしてなかったり、理学療法士によってやり方がまちまちだったりします。そんな現状を踏まえて、コクランが267件(参加者数はなんと21,838人)のランダム化比較試験(RCT)を集めて、詳しく調べてくれました。
調査のポイント
- リハビリは本当に効果的?
- 「普通のリハビリ」+「追加リハビリ」はさらに効果ある?
- 特定のリハビリ方法は他より優れてる?
気になる結果
リハビリあり vs リハビリなし
まず、身体リハビリをやった方が、何もしないより日常生活の活動(ADL)、脚の動き、バランス、歩行などが改善する可能性が高いです。特に週に2.5時間以上リハビリをやると効果的らしい。
普段のリハビリ+追加リハビリ
さらに、普段のリハビリに追加で別のリハビリをすると、ADLや運動機能、バランス、歩行がもっと良くなる傾向があります。「追加リハビリの量が多いほど効果もアップする」という結果も出ています。
どのリハビリ方法が効果的?
特に目を引いたのが「機能的タスク訓練(実際の日常動作を積極的に練習する方法)」です。これはADLや脚の動きを改善するのに効果がありそうです。ただしバランスや歩行速度に関しては、明確な効果は確認できなかったようですね。
一方、「ボバース法」などの神経生理学的アプローチは、他の方法と比べて日常生活動作の改善効果がやや低い可能性があります。ただ、運動機能やバランス、歩行速度については、明らかな差はなかったようです。
注意点と今後の課題
この研究、参加者や方法にかなりバラつきがあって、結果に一定の限界もあります。また、研究の質にもバラつきが多く、さらなる調査が必要とのこと。
まとめ(結論)
- 身体リハビリは脳卒中後の機能回復に有効。
- 通常のリハビリに加え、追加のリハビリを増やすほど効果的。
- 特に機能的タスク訓練が日常生活の改善におすすめ。
- ボバース法などの神経生理学的な方法はやや効果が限定的かも。
理学療法士としては、単一の方法にこだわるよりも、患者さんの状態や目標に合わせて最適な方法を組み合わせていくことが重要になりそうですね。それではさようなら。
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