今回は、ピラティスが亜急性腰痛(4週間~12週間続く腰痛)に対してどのような影響を及ぼすかを調べたランダム化比較試験(RCT)の内容を紹介します。腰痛は長引くことで慢性化することがあり、日常生活に支障が出ることもあるため、早い段階での対応が望まれます。
研究の概要
対象と方法
この研究では、亜急性腰痛のある66名の方を次の2つのグループに分けて調査を行いました。
- ピラティス群:週3回、1回60分のピラティスを8週間継続。
- ホームエクササイズ群:週3回、自宅で自主的に運動を8週間継続。
ピラティス群では、理学療法士の指導のもとで、ウォーミングアップ(骨盤の動きやキャットカウなど)から体幹を意識したエクササイズ(プランクやシングルレッグストレッチなど)を行いました。
ホームエクササイズ群では、筋力や柔軟性を目的とした運動を各自で実施しました。特別な指導はありませんでした。
評価項目
介入の前後と3か月後に、次の3つの観点で評価が行われました。
- 痛みの程度(VAS)
- 日常生活における動作のしづらさ(ローランド・モリス障害質問票)
- 生活の質(SF-36)
結果の概要
どちらのグループにも改善は見られましたが、ピラティス群のほうが変化の幅がやや大きかったようです。
- VASスコア:治療直後と3か月後に痛みの軽減が確認されました。
- 機能的な改善:日常生活でのしづらさが減った傾向が見られました。
- SF-36:身体的な側面や健康感において、一定の改善があったようです。
考察
ピラティスは体幹の安定や筋肉のコントロールを意識した動きが中心となっており、腰部への負担を調整する可能性があります。また、指導があることで継続しやすく、適切な方法で運動できることも影響しているかもしれません。
まとめ
- ピラティスは、亜急性腰痛への選択肢のひとつとして考えられます。
- 自宅での運動に比べて、指導付きの運動のほうが改善が見られる傾向がありました。
- 今後は長期間の経過観察や、費用面も含めた検討が求められるかもしれません。
どんな運動が合うかは人それぞれですが、ピラティスに良いイメージを持っている患者さんなどには試してみてもいいかもしれませんね。
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