オステオパシーは本当に効くのか?──55本のRCTを総ざらいして見えた「3つの真実」

論文

肩こりや腰痛に悩んだとき、「整体」や「オステオパシー」に通ったことがある方も多いはず。「なんとなく良くなった気がする」──でも、それって本当に治療効果なのか、単なるプラセボなのか。

その疑問に応えてくれるのが、BMJ Openに掲載されたレビュー論文(R)。過去に発表されたRCTベースの系統的レビュー(SR)とメタ分析(MA)を横断的にまとめたもので、対象は55本のRCT・3740名の患者。対象疾患は腰痛、首の痛み、片頭痛、IBS、小児疾患など多岐にわたります。

結論から言うと、オステオパシー(OMT)は筋骨格系の慢性痛には有望、ただしその他の疾患に対しては判断保留といった印象でした。

OMTが有効とされるのはどこまでか?

まず注目すべきは、慢性および急性の非特異的腰痛(NSLBP, CNSLBP)です。Frankeら(2014)のメタ分析によれば、CNSLBPに対して中程度の痛み軽減(MD −14.9)、機能改善効果(SMD −0.32)が確認されました。また、妊娠中や産後の腰痛に対しては、効果量が大きく、実用的な改善が示唆されています(ただしエビデンスの質は中〜低)。

首の痛みに関しても、同じくFrankeら(2015)のレビューで、CNSNPに対する中等度の痛み軽減効果(MD −13.0)が確認されました。ただし、機能改善の有意差は見られず。

これらの分野では、「副作用なし or 非常に軽度」で、かつ「中程度の効果」が期待できるという点で、選択肢としては現実的だといえます。

一方、小児疾患、片頭痛、過敏性腸症候群(IBS)などについては、エビデンスの質が低く、結果もばらつきが大きいのが現状です。たとえば小児に対するOMTでは、15本のRCTのうち多くがバイアスリスクが高く、統一的な効果は確認されませんでした。IBSについても、一定の効果を示す報告はあるものの、研究の質や規模の観点から確信を持てる段階ではありません。

実際に試すべき人と、その前に知っておくべきこと

今回のレビューから得られた実践的な指針は、以下のとおりです。

OMTが有効とされる可能性が高い人

  • 慢性または急性の腰痛に悩んでいる
  • 妊娠中や産後の腰痛でつらい
  • 標準的な治療(理学療法や薬物療法)で効果を感じられなかった
  • 首の痛みで、薬に頼らず自然療法を試したい

受ける前に確認したいポイント

  1. 施術者が正式なオステオパシーの資格を持っているか
  2. セッションの目的と頻度、費用が明確に説明されているか
  3. 効果の見込みや限界を正直に話してくれるか

なお、安全性については、7つのレビューが副作用を検討しており、重篤な副作用は1件も報告されていません。あっても「施術後のだるさ」「一時的な違和感」など、短期的かつ軽度のものが中心でした。

つまり、「確実に効く」とまでは言えませんが、「リスクが少なく、効果があるかもしれない」という点では、一定の価値がある選択肢です。

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