慢性的な首の痛みに、あごの運動を足すと何が変わるのか

論文

慢性的な首の痛みがある人を対象にしたトルコの無作為化比較試験(R)では、首の安定化運動にロカバド運動を追加した群は、首の安定化運動だけを行った群に比べて、圧痛閾値・圧痛耐性、首の屈曲可動域、首の位置感覚、バランスでより大きな改善が報告されました。

研究の方法

これは無作為化比較試験で、参加者をランダムにグループへ分けて介入の違いを比べる研究です。対象は18〜65歳の非特異的な慢性的な首の痛みが3か月以上続く62人で、顎関節症の診断がある人、神経障害性疼痛や放散痛の所見がある人、頸椎手術歴がある人などは除外されました。

比較したのは、首の安定化運動だけを6週間行う群と、それにロカバド運動を追加する群です。ロカバド運動は、あご周囲の協調運動を中心とした6種の運動です。評価項目は、首の障害感、痛みの強さ、圧痛閾値・圧痛耐性、首の可動域、筋持久力、首の位置感覚、静的・動的バランスでした。

主な結果

6週間後には、どちらの群でも痛みの強さ、首の可動域、筋持久力、首の障害感、首の位置感覚、バランスは改善していました。

そのうえで群間差をみると、ロカバド運動を追加した群のほうが、圧痛閾値・圧痛耐性、首の屈曲可動域、首の位置感覚、静的・動的バランスで大きく改善していました。つまり、あごの運動を足したことで、とくに感覚運動機能や圧痛関連の指標で上乗せがみられた形です。

一方で、痛みの強さそのもの、首の障害感、筋持久力、首の可動域の多くの方向では、群間ではっきりした差は確認されませんでした。首の可動域で差が出たのは屈曲のみでした。

まとめ

この研究から直接いえるのは、慢性的な首の痛みがあり、しかも顎関節症や神経症状がない人では、首の安定化運動にロカバド運動を追加すると、首の位置感覚やバランス、圧痛関連の指標で追加の改善がみられる可能性がある、ということです。

ただし、この研究は6週間の短期評価で、参加者は自分がどちらの群かを知っていました。また、対象は顎関節症を伴わない非特異的な慢性的な首の痛みに限られています。そのため、長期的な効果まで分かるわけではなく、首の痛みがある人全体にそのまま広げて考えることもできません。

個人的には、ロカバド運動はめんどくさそうな割にエビデンスの蓄えもあまりないので、よっぽど何をやっても首を抑えた時の痛みとかが続いていない限りはやらないかなぁと思います。

理学療法士としては、ロカバド運動のような舌・顎・頚部・肩甲帯などの協調性や姿勢を含めたアライメントを意識すること自体は悪くないことだとは思うので、そういうことの大切さを思い出すきっかけにはなりましたかね。どうぞよしなに。

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