理学療法士として働いている中で最も気になるのは「関節可動域」と言っても過言ではないでしょう。
ここでは肩関節水平外転ROM制限に対しての評価から治療までをまとめようと思います。
肩関節水平外転の関節可動域
- 基本軸:肩峰を通る矢状面への垂直線
- 移動軸:上腕骨
- 参考可動域:30°
治療
正直に申しますと、肩関節水平外転をアウトカムにしたエビデンスは少ないです。
現実的には、大胸筋(+小胸筋)のストレッチと、セラバンドなどを用いた運動を行うのがベターかなと思います。
大胸筋(+小胸筋)のストレッチ
2016年のRCT(R)では、乳がん手術後で前胸部の短縮に対し、90°以上外転した状態でのストレッチが有効なことが示されています。
- 壁に「肘」と「手」を置いて、胸を張ります。
- 腰を壁とは反対方向にひねり、肩と胸の間をゆっくりと伸ばします。
運動
2018年のRCT(R)によれば、放射線治療直後の時期に合わせた運動介入は、短期的には肩の可動性と疼痛を改善することが示唆されています。
具体的にどんな運動を行ったのかは分からないのですが、個人的にはセラバンドでの水平外転運動がいいかなと思います。
- 両腕を前にまっすぐ伸ばし、親指を立ててバンドを持ちます。肘は曲げずにまっすぐロックし、腕が体の正面で90度の角度になるように保ちます
- 無理のない範囲で、腕を左右に大きく広げます
- ゆっくりと元の位置に戻します
まとめ
- 肩関節水平外転ROMは、基本軸=肩峰を通る矢状面への垂直線/移動軸=上腕骨/参考可動域=30°。
- 水平外転ROMをアウトカムにした研究は少ないため、実務上は大胸筋(+小胸筋)ストレッチと抵抗運動(セラバンド等)を軸に組む。
というお話でした。参考になれば幸いです。
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