サルコペニアに筋トレはもちろん良いけど、全身振動トレーニングもいいかもよというRCT

サルコペニアに対する全身振動トレーニングとレジスタンストレーニングの効果比較のサムネイル画像 論文

今回は「高齢者のサルコペニアに対して、12週間の全身振動トレーニング(WBVT)とレジスタンストレーニング(RT)のどちらが効果的か?」を比較したランダム化比較試験(R)の論文をご紹介します。研究は中国・上海で実施され、参加者の平均年齢は約74歳です。

「全身振動トレーニングってなに?」と思う人もいるかもしれません。全身振動トレーニング(WBVT)は、機械的な振動を身体に伝えることで、筋肉の収縮を誘発し、神経筋の反応性を高めるトレーニング法です。

研究の概要

目的と対象

サルコペニア(加齢に伴う筋力や筋量、身体機能の低下)を持つ高齢者27名を対象に、WBVT(振動マシンによるトレーニング)とRT(弾性バンドを使ったトレーニング)の効果を12週間にわたり比較しました。

方法

  • WBVT(全身振動トレーニング)とRT(レジスタンストレーニング)を週3回、計12週間実施。
  • 主な評価項目は、膝伸展筋力(KES)。
  • 他にも身体組成(BMI、体脂肪率、筋肉量など)、握力、歩行速度(GS)、椅子からの立ち座り動作(5CST)、短距離身体能力評価(SPPB)、血液バイオマーカー、生活の質(SF-36)などを評価しています。

結果とポイント

筋力の改善

  • 両グループとも膝伸展筋力(KES)は明らかに改善。
  • ただし、RTのほうがWBVTよりも筋力アップ効果は大きかったようです。

身体組成

  • 両グループとも体重、BMI、体脂肪率が改善。
  • 筋肉量(ASMI)はWBVTグループでのみ有意に向上しました。

身体機能

  • 歩行速度(GS)と総合的な身体能力評価(SPPB)は両グループとも改善。
  • 椅子からの立ち上がり動作(5CST)はWBVTグループだけが有意に改善しました。

血液バイオマーカー

  • 成長ホルモンは両グループで有意に増加しましたが、インスリン様成長因子(IGF-1)はWBVTグループのみ上昇。
  • 両グループでフォリスタチン(FST)が低下、筋損傷の指標であるクレアチンキナーゼ(CK)は上昇しましたが、炎症マーカーには有意な変化なし。

生活の質

  • 身体機能、身体的役割、一般的な健康状態、メンタルヘルスは両グループとも改善しましたが、RTグループのみ健康の変化(HT)の項目で改善。
  • 一方、役割遂行(RP)はWBVTグループのほうがRTグループよりも良好でした。

結論(まとめ)

  • WBVTとRTのどちらもサルコペニアの高齢者の筋力や身体機能の改善に有効でしたが、特に筋力改善にはRTのほうが優れていました。
  • WBVTは関節や骨に負担が少ないため、RTが難しい高齢者にも安全に行える点がメリット。
  • 筋力をピンポイントで上げたい場合はRTが良さそうだけど、全体的な健康改善や筋量増加も含めたバランスを考えるとWBVTも十分有用。
  • つまり、個々の体力や好みに合わせて選ぶのがベストということですね。

高齢者のリハビリや健康維持には両方取り入れられる可能性がありそうなので、僕も今後は両方をうまく組み合わせて使いたいところです。皆さんも参考にしてみてください。

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