胸郭出口症候群の整形外科テストは組み合わせてやろうねというお話

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「TOS(胸郭出口症候群)の評価って、どのテストをやれば正解?」——新人さんが最初にぶつかる“あるある”です。で、結論から言うと、単独テストで確定はムリ組み合わせで“症状の再現/軽減”を見るのが実用解です。

TOSテストは本当に当てになるのか?

ざっくり要点だけ。

  • 単独では弱い:Adson・Roos・Wright…どれも“これだけで鑑別OK”とは言えない。(R
  • 使い方のコツ症状の再現/軽減を主指標脈の変化は補助
  • 狙いを分ける
    • 鎖骨下スペース系→Halstead
    • 小胸筋下スペース系→Wright
    • 斜角筋隙の感作→鎖骨上窩圧迫(Supraclavicular pressure)
    • 神経原性のヒント→Cyriax release(“軽減”が陽性)

みたいな感じでしょうか。

ちなみにやり方としては、

  1. 鎖骨上窩圧迫
    斜角筋間をやさしく押して慣れた放散/しびれが出るか確認。強圧はNG。
  2. Halstead(鎖骨下スペース)
    ほんのり胸を張る+肩甲帯下制内転。頸は伸展+反対側側屈。
    症状再現を最優先で記録。脈は補助。
  3. Wright(小胸筋下)
    肩外転90–120°・外旋・肘90°。無反応なら外転140–160°や軽い後方牽引を追加。
    → ここも症状再現が主。腰反り・肩すくみは即修正。
  4. Cyriax release(軽減テスト)
    肩帯を1–2cmだけ“持ち上げる”。症状が軽くなるなら神経原性寄り。

といった感じです。

どのように治療するか

では整形外科テストが陽性だったとして、どのような治療を行えばいいのでしょうか?
個人的には小胸筋のストレッチが第一選択で、場合によってウォールスライドで肩甲帯を動かすのも効果的かなという印象です。

1) 小胸筋ストレッチ(肩の前の張りをゆるめる)

壁を使った大胸筋と小胸筋のストレッチの動画。 ①壁に肘と手を置いて胸を張ります。 ②腰を壁と反対方向にひねって肩と胸の間をゆっくり伸ばします。

2) ウォールスライド

ウォールスライドの動画。肩関節外転外旋位で背中と前腕を壁につけ、動かせる範囲で上下に動かします。

まとめ

  • 単独テストに頼らず組み合わせで評価。見るのは症状の再現/軽減
  • 介入は小胸筋ストレッチ+ウォールスライド

というお話でした。参考になれば幸いです。

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