成人ADHDのビタミンB12・Dと症状の強さを調べた横断研究

論文

2026年に掲載されたトルコの研究(R)では、成人ADHDの人は健常対照よりビタミンB12とビタミンDの血中濃度が低く、症状が強い人ほどそれらの値も低い傾向が報告されました。

研究の方法

この研究は横断研究です。横断研究とは、ある一時点で集めた情報を比べて、差や関連があるかを見る研究です。対象は、2024年にトルコの精神科外来を受診した成人ADHD 35人と、年齢と性別をそろえた健常対照36人でした。研究では、血液検査でビタミンB12、ビタミンD、フェリチン、鉄を測り、あわせて成人ADHDの症状の強さを質問票で評価しました。

参加者は18〜65歳で、貧血の既往がない人が対象でした。神経疾患、慢性の全身疾患、現在の向精神薬の使用、妊娠、肥満、活動性の感染症がある人は除外され、ビタミンB12、ビタミンD、鉄のサプリを現在使っている人も除外されていました。

主な結果

血液検査では、ADHD群のビタミンB12は平均194.83 pg/mLで、対照群の299.94 pg/mLより低く、ビタミンDも22.73 ng/mLで、対照群の28.74 ng/mLより低くなっていました。どちらも統計学的にはっきりした差でした。

また、ビタミンB12とビタミンDは、どちらも症状の強さと逆向きの関連を示しました。つまり、値が低い人ほど、不注意や多動・衝動性、子ども時代をふり返る尺度での症状スコアが高い傾向がみられました。相関の強さは中程度が中心で、たとえばビタミンB12は現在の不注意と r=-0.448、ビタミンDは現在の多動・衝動性と r=-0.522 でした。

一方で、フェリチンと鉄には群間差がみられませんでした。著者らは、今回の研究では貧血のある人を除外していたため、鉄に関する違いが出にくかった可能性にも触れています。

まとめ

この研究からは、成人ADHDではビタミンB12とビタミンDが低く、症状が強い人ほど低い傾向があることが示されました。ただし、横断研究なので、ビタミンの低さが症状を強くしたのか、逆にADHDに関連する生活習慣や日光曝露、食事などの違いがビタミン値に影響したのかまでは分かりません。

限界としては、参加者が71人と少ないこと、食事、喫煙、身体活動、季節差、日光曝露、体組成などの影響を十分に調べていないこと、ビタミンB12の対照群でばらつきが大きかったことが挙げられています。著者ら自身も、今回の差がそのまま臨床的な欠乏を意味するわけではなく、因果関係を確かめるには追跡研究や介入研究が必要だと述べています。

そのため、この研究だけで成人ADHDの人すべてに血液検査やサプリメントを一律に勧めることはできません。ただ、食事の偏りが強い、屋外に出る機会が少ない、欠乏が気になる症状や背景があるといった場合には、自己判断で補充を始める前に主治医へ相談するきっかけにはなりそうです。

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