シンスプリントになりやすいのはどんな人?──メタ分析でわかった7つの特徴

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「走るとスネの内側が痛くなるんだけど…」
「運動を再開したらすぐ痛みが出る…」
──そんな悩みを抱える人、多いんじゃないでしょうか。

シンスプリント(正式名称は内側型脛骨過労性骨膜炎)は、ランナーやジャンプ系スポーツをする人によく見られるケガの一種でして、放っておくと数ヶ月単位で運動から遠ざけられるやっかいなトラブルです。

そんなシンスプリントについて「こういう人がなりやすい!」というリスク因子を徹底的に調べたメタ分析(R)が出ておりまして、なかなか参考になったのでシェアしておきます。

7つのリスク因子が明らかに

この研究は、過去に行われた前向き研究(=未来の発症リスクを追いかけたタイプ)だけを集めて統合した、信頼性の高いレビューです。
そこから浮かび上がってきた「シンスプリントになりやすい人の特徴」は、ざっくりまとめるとこんな感じ。

  1. 女性である(リスク1.7倍)
  2. シンスプリントの既往歴がある(再発リスク3.7倍)
  3. ランニング歴が浅い(経験年数が少ない)
  4. BMIが高い(ちょっと太め)
  5. 足のアーチが崩れやすい(ナビキュラードロップが大きい)
  6. 矯正用インソールを使ったことがある(リスク2.3倍)
  7. 股関節の外旋が柔らかすぎる(特に男性)

けっこう思い当たる人、多いんじゃないですか?

特に「女性」「既往歴あり」「ランニング経験が浅い」の3つは、明らかにリスクが高めでして、「またなるかも…」って心配な人は要チェックです。

足のアーチが落ちやすいとアウト?

中でもちょっと面白いのが「ナビキュラードロップ」と呼ばれる足のテスト。これは、立ったときに足の舟状骨(内側の出っ張り)がどれぐらい下がるかを測るもので、言い換えれば「土踏まずの崩れやすさ」を見る指標ですね。

研究では、ドロップが10mmを超えるとシンスプリントの発症リスクが約2倍になってました。つまり「足のアーチがゆるくて、荷重でグニャッと沈むタイプ」は要注意というわけ。

とはいえ、この測定はミリ単位の話なんで、厳密にはちょっと誤差も大きいんですけどね(実際、1〜3mmくらいの誤差が普通に出るそうな)。でも「10mm超えは危ないよ」って基準は、臨床ではかなり使えるんじゃないかと思います。

矯正インソールって逆効果なの?

個人的に「マジか…」と思ったのが、「過去にインソールを使ってた人ほどシンスプリントになりやすい」ってデータ。リスクは2.3倍です。

もちろん、これは「インソールそのものが悪い!」って意味じゃなくて、「なにか問題があったからインソールを処方された→その背景がシンスプリントにつながってる」みたいな因果の逆転もあるかもしれません。

でも研究チームは、足の筋肉(とくに後脛骨筋とか)を使わなくなることで筋力が落ちたり、衝撃吸収がうまくいかなくなったりして、かえってケガしやすくなるんじゃないか、という仮説を立ててました。

要するに、インソールも「痛みがあるときの一時的な補助」ぐらいにして、長期的には“自分の足で立つ力”を鍛えるのが大事ってことですね。

ランニング歴が浅い人は慎重に

あと地味に大きかったのが、「ランニング歴が少ない人ほどシンスプリントになりやすい」ってデータ。
筋肉や骨は「負荷に適応する」ことで強くなっていきますが、運動再開したばかりの時期は、まだその耐性が整ってないんですよね。

経験が浅い状態で急に距離やスピードを上げすぎると、骨や腱がパンクしてしまう。研究では「経験年数が長いほどリスクが下がる」と明確に出てました(SMD −0.74)。けっこう大きな差です。

男女で違うリスクもある

ちなみに「股関節の外旋が柔らかい男性」も、シンスプリントになりやすいというデータも出てまして、これはちょっと意外かも。

研究によれば、「股関節の柔らかさ=ランニング時のフォームの崩れ」に関係してる可能性があるそうな。特に、外旋が大きいと足が外向きに出て、脛骨にねじれのストレスがかかりやすいんじゃないか、とのこと。

女性に関しては、ホルモンの影響や骨密度の問題も指摘されていて、やはり男女別に考えたほうが良さそうです。

結論:できる対策はたくさんある

というわけで、「シンスプリントになりやすい人」には共通点があるぞという話でした。

まとめると、こんな感じです。

  • 女性は男性よりリスクが高い
  • 一度なった人はまたなりやすい
  • 運動初心者はとにかく慎重に
  • 土踏まずが崩れやすい人は注意
  • インソールを常用してるなら一度見直しを
  • 男性は股関節の柔軟性チェックも忘れずに
  • BMIが高めなら、まずは体重管理から

どれもいきなり完璧に直すのは難しいですが、「少しずつ意識する」だけでも十分に価値はあると思います。

特に「シンスプリント再発ループ」にはまってる方は、ぜひ一度、足の構造やフォームを見直して、負荷のかけ方を調整してみてください。

予防が一番の治療ですからね!

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